IoTソフト開発のITスキル

目次

1.IoTとは
 IoTは”Internet of Things”の略で物をインターネットにつなげてより便利にするものです。例としては物が通信機能を持ち、自ら状態を通知したり、他から通知を受けて動作したりできるなど、これまで単独で機能していた物がネットワークに繋がることで、他の物と協調して機能したり、物の機能をネットワークを介して変えたりできるなど、物の価値を飛躍的に高める可能性があります。
 これまでも遠隔で監視制御する物はありましたが専用回線を使って利用するなど利用範囲は限定的なものでした。インターネット、無線ネットワークLPWA(Low Power Wide Area)の普及、スマートフォンなどの普及によって、IoTのシステムやサービスは拡大していくと思われます。

2.IoT の要素
 IoTを構成する要素について考えたいと思います。
 物が情報を集めるセンサー、物理的な動作をするアクチェーター、IoTを広域ネットワークに接続する通信機能、センサーから得たデータを活用する人工知能などIoTは多くの要素を含みます。

3.IoTで必要な知識
 一般的にITシステムの構築や組み込みシステムに必要なスキル以外で、IoTで必要なスキルを挙げました。
(1)IoT端末を通信ネットワークに繋げる通信の知識
(2)IoT端末でセンサーなどを使ったセンシング、電気信号で動作させるアクチェーターの知識
(3)多数のIoT端末、遠隔地で無人の場所に設置などを考慮した情報セキュリティ対策の知識

3.1 IoTの通信
 IoTではセンサーからの情報など扱うデータ量は少ないがIoT端末への電力供給は電池(寿命は10年程度)、通信コストは安価(百円程度/月)で広域エリアをカバーできることなど、IoT固有の要件が多々あります。
 このような通信への要件を満たす無線ネットワークとして、低消費電力、低ビットレート、広域エリアを特徴とするLPWA(Low Power Wide Area)があります。
 LPWAには通信事業者のネットワークに加入するものと自前でネットワークを構築できるものがあります。
 通信事業者のネットワークに加入するものとしては、
・Sigfox(シグフォックス):
 Sigfox社が提供するLPWAネットワークサービスで日本国内では京セラコミュニケーションシステム株式会社(KCCS)が運用
などがあります。

 自前でネットワークを構築できるものとして、
・LoRaWAN:
 LoRa(Long Range、米国半導体大手セムテック社の開発した無線方式)を採用し、LoRa Allianceが定めた規格。デバイスはLoRa Allianceに参画するメーカから供給されているが、LoRaWANゲートウェイとサーバを自前で構築することが必要。または、LoRaWANゲートウェイとクラウドサーバのサービスを提供する事業者から借りる方法もあります。

 また、LTEの周波数帯を使った通信事業者が提供するIoT向けのサービス(NB-IoTなど)もあります。

3.2 センサとアクチュエータ
(1)センサ
 センサは、自然現象や人工物の機械的・電磁気的・熱的・音響的・化学的性質あるいはそれらで示される空間情報・時間情報を、何らかの科学的原理を応用して、人間や機械が扱い易い別媒体の信号に置き換える装置のこと。
(引用:Wikipedia)
 主に電気信号に変えるセンサとして、下記のものがあります。
①加速度センサ:物体の速度変化を検出するセンサ
②ジャイロセンサ:検出対象の傾きや角速度を検知するセンサ
③音センサ(マイク):音の大きさ、音質のセンサ
④光センサ:光の有無や強さを検出するセンサ
⑤イメージセンサ:光を電気信号に変換して画像として生成
⑥環境センサ(温湿度センサ):気温や湿度、日射量、照度などを測定できるセンサ
⑦圧力センサ:センサにかかる力を電気信号に変換するセンサ
⑧距離センサ:光や超音波の反射を用いて距離に換算するセンサ
⑨GPS:位置計測センサとして使用
 以上の部品としてのセンサーを使うためにはインターフェース条件、使用環境などに合わせた設計が必要になります。
 また、IoTの通信機能と一体化されたセンサもあります。

(2)アクチュエータ
 入力されたエネルギーもしくはコンピュータが出力した電気信号を、物理的運動に変換する、機械・電気回路を構成する機械要素である。能動的に作動または駆動するもの。(引用:Wikipedia)
 主に電力と電気信号から必要な量の物理的運動をするものとして、ステッピングモータ、サーボモータがあります。
①ステッピングモータ、サーボモータ
 電気信号と電力を与えると、制御装置によって指示した通りに動作(回転運動、直線運動)します。
②ソレノイド
 コイルに通電するだけで動作(速度制御は苦手)
など、必要な動作(回転/直線運動、位置決め精度、反応速度などの要件)で選択することになるかと思います。

3.3 IoT情報セキュリティ対策技術
 IoT端末は多数、遠隔地に無人のところに設置されるなど、物理的又はネットワークのセキュリティ対策がされた場所に設置されるサーバとは異なる環境にあるため、IoTとしての情報セキュリティ対策も必要になります。
 IoTシステムの設置環境と経済的合理性によって、情報セキュリティポリシーを決めることが必要と思います。
 下記のサイトが参考になるかと思います。

・総務省
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/index.html

・IoT推進コンソーシアムIoTセキュリティWG
 http://www.iotac.jp/wg/security/

4.団体、コミュニティー、資格など
(1)モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)
 https://www.mcpc-jp.org/
(2)資格試験
・IoTシステム技術検定
 MCPCが実施する検定試験で上級、中級、基礎の3段階

The end